「ロンドンドライジンって何?」
「ロンドンで造られているからロンドンドライジンなの?」
本記事はそんな疑問にお答えします。
ジンの種類の一つであるロンドンドライジンについて詳しく知りたい方は是非参考にしてください。
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ロンドンドライジンとは?
連続式蒸留器で造られた高品質のジンのことをロンドンドライジンと言います。
厳密な定義は「EU法規:スピリット・ドリンクに関する規則 (Regulation (EU) 2019/787)」の中に記載されているANNEX I内の「22」によって定められて、日本語に翻訳すると下記のような定義となります。
(a) ロンドンジンは、以下の要件を満たす蒸留ジンです。
(i) 農業原料由来のエチルアルコールのみで作られ、メタノール含有量が100%のアルコールあたり1ヘクトリットルあたり5グラム以下で、その風味は、使用されるすべての天然植物材料の存在下で農業原料由来のエチルアルコールを蒸留することによってのみ与えられます。
(ii) 得られる蒸留物は、アルコール濃度が少なくとも70%以上であること。
(iii) 追加される農業原料由来のエチルアルコールは、記事5で規定された要件を満たすものでなければならず、メタノール含有量が100%のアルコールあたり1ヘクトリットルあたり5グラム以下であること。
(iv) 着色されていないこと。
(v) 最終製品1リットルあたりの甘味料の含有量が、インバートシュガー換算で0.1グラム以下であること。
(vi) 使用される成分は、(i)、(iii)、(v)に記載された成分および水以外には含まれていないこと。
(b) ロンドンジンの最低アルコール度数は、37.5%であること。
(c) 「ロンドンジン」という用語は、「ドライ」という用語を補完するか、組み込むことができます。
Regulation (EU) 2019/787
ロンドンドライジンは、今のクラフトジンのベースとも言われるジンです。
関連記事:【解説】ロンドンドライジンとクラフトジンの違いって何?定義のまとめ
ロンドンドライジンのざっくりとした歴史
1600年代、当時オランダで薬として造られていたジュニパーベリー入りの蒸留酒がジンのルーツであると言われています。
当時は「ジュネヴァ」と呼ばれていましが、オランダからイギリスに持ち込まれたあとに「ジン」と呼ばれるようになりました。
当時のジンは単式蒸留器の製造されていたようですが、その技術ではどうしても雑味があるジンしか造れなかったようです。
そこで生まれたのが、ジンの中に砂糖を入れて飲む「オールド・トム・ジン」です。
連続式蒸留器の技術が生まれたあとは、雑味のない高品質なジンが生産されるようになり、これが「ロンドン・ドライ・ジン」と呼ばれています。
ロンドンドライジンは「連続式蒸留器で造られている」+「高品質」のジンの呼称です。ロンドンで造られたジンが「ロンドンドライジン」というわけではありません。
ロンドンドライジンの代表的なブランド
ロンドンドライジンを代表するブランドとしては、タンカレー、ボンベイ、ビーフィーター、ゴードンが挙げられます。
別記事にて詳しく解説をしていますので、興味がある方はチェックしてみてください。
2008年のシップスミスの免許取得からクラフトジンブームに!
ロンドンドライジンを語る上でシップスミスは外せません。
シップスミスは2008年に200年ぶりにロンドンで蒸留免許を取得、2009年からジンづくりを始めたベンチャースピリッツ溢れる蒸留所です。
純銅製の蒸留器を使い、「ワンショット製法」と呼ばれるロットごとに準備された原材料を蒸留し、水以外は一切加えない製造方法を採用。
10種類からなるボタニカルを複雑に組み合わせ、18世紀から19世紀のロンドンドライジンの味わいを再現しています。
シップスミス創業以降、約70もの蒸留所がロンドンで立ち上がったと言われ、これがのちの世界的なクラフトジンブームへの動きにつながっていきます。
【おすすめ】ロンドンドライジンならこのジンは要チェック!
タンカレー ロンドン ドライジン
1830年に創業者チャールズ・タンカレーによって蒸留所が設立されました。
4回の蒸留工程を経るこだわりの製造方法は門外不出。
世界でたった6人だけがその秘密を知っているそうな…。
切れ味の良い味は、高品質なボタニカルを使っているから出せる味です。
ボンベイ・ドライ
ボンベイ・サファイアを含め、販売金額世界ナンバーワンのジンブランド。
1761年から続くレシピを継承し、8種類のボタニカルを使っています。
クセのない、伝統的なロンドン ドライジンの味を楽しむことができます。
ビーフィーター
ジンと言えば誰もが一度はその名前を聞いたことがあるほど有名なビーフィーター。
厳選された9種類のボタニカルを使い、今でもロンドン市内で蒸留を行う唯一のブランドとして知られています。
香りがよく、価格もリーズナブルなので初心者の入門用ジンとしてもオススメです。
ゴードン ロンドン ドライジン
世界で初めてジントニックを生んだと言われているブランドです。
1769年の創業からのレシピはたった12人しか知っておらず、「1769レシピ」として今もなお守られています。
辛口でパンチの効いた味が特徴で、世界180ヵ国で愛されているジンです。
シップスミス ロンドンドライジン
クラフトジンブームの先駆けになった記念すべきロンドン・ドライ・ジンがシップスミス。
伝統的なロンドン・ドライ・ジンの製法にこだわりながら「ワンショット製法」を採用することで、力強いドライな味が出ています。
銅製の超小型蒸留器を使い、200本ほどのスモールバッチで生産しています。
クリエイティブかつイノベイティブな味を思う存分楽しんでください。
ロンドンドライジンの製法を継承した日本のジン
ロンドンドライジン=イギリスで製造されるジン、というイメージが強いですよね。
八王子蒸溜所が造るトーキョーハチオウジンは、ロンドンドライジンの製法を継承しており、伝統的な味を楽しむことができます。
ロンドンドライジンならぬ、”トーキョードライジン”。
興味がある方は、ぜひ一度試してみてください。
基本情報
製造者 | 東京八王子蒸溜所 (株式会社大信) |
ボタニカル | ジュニパーペリー、レモンピール、甘夏ピール、ビターオレンジピール、コリアンダーシード、アンジェリカルート、リコリスルート、カルダモン、カシアバーク、クローブ、ジャーマンカモミール、エルダーフラワー |
アルコール度数 | 45% |
容量 | 500ml |
価格 | オープン価格 |
八王子蒸溜所公式サイト:https://hachioji-distillery.jp/
まとめ
今回ご紹介したロンドンドライジンですが、どのモデルも深い歴史があり、それがさらにジンの魅力を引き立てているように感じます。
どのジンも比較的リーズナブルな価格ですので、初心者の方はまずはどれか一つ試してみるのもいいのではないでしょうか。