【解説】ロンドンドライジンとクラフトジンの違いって何?定義のまとめ

「ロンドンドライジンとクラフトジンの違いって何?」

本記事ではそんな疑問を解決します。

まず、ジンには3種類の定義が存在することを理解しておきましょう。

ジンの定義
  1. ジン(Gin)
  2. 蒸留ジン(Distilled Gin)
  3. ロンドンジン(London Gin)

EU法規:スピリット・ドリンクに関する規則 (Regulation (EU) 2019/787)」の中に記載されているANNEX I内の「20, 21, 22」によって定められています。

イメージを図にしてみると下記のようになります。

ジンの規定が一番ゆるく、蒸留ジン、ロンドンジンの順に規格が厳格になっていきます。

いわゆる”クラフトジン”と呼ばれているジンは、ジン、蒸留ジンに定義されるカテゴリーのジンであることが多いです。

八王子蒸溜所が造るトーキョーハチオウジンのように、ロンドンドライジンの製法を継承している国産のジンもあります。

なお、ジン、蒸留ジン、ロンドンジンの厳格さの比較はあくまでも定義上の話であって、厳格なロンドンドライジンだから美味しい、ジン・蒸留ジンだからダメ、という訳ではありません。

監修/編集者
クラフトジン・ラボ運営者:大地 正紘
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目次

ジン(GIN)の定義とは?

EU法規:スピリット・ドリンクに関する規則 (Regulation (EU) 2019/787)」に記載されている定義を日本語に翻訳して引用すると、以下のような定義となります。

(a)ジンは、農業由来のエタノールを、ジュニパーベリー(Juniperus communis L.)で香り付けしたジュニパー風味のスピリッツです。

(b)ジンの最低アルコール度数は、37.5%です。

(c)ジンを製造する際には、風味付け物質または風味付け用製剤、あるいはその両方を使用し、ジュニパーの味が主体となるようにします。

(d)最終製品1リットルあたりの甘味料が、インバートシュガー換算で0.1グラムを超えない場合、「ジン」という言葉に「ドライ」という言葉を付け加えることができます。

Regulation (EU) 2019/787

コンパウンドジン(別名:バスタブジン)と呼ばれるジンはこのカテゴリーに定義されます。

国内では紅櫻蒸溜所が「9148 #0210 Fukinotou Compound Gin」というコンパウンドジンを製造しています。

紅櫻蒸溜所公式サイト:https://www.hlwhisky.co.jp/

蒸留ジン(Distilled Gin)の定義とは?

EU法規:スピリット・ドリンクに関する規則 (Regulation (EU) 2019/787)」に記載されている定義を日本語に翻訳して引用すると、以下のような定義となります。

(a)蒸留ジンは以下のいずれかです:

(i)ジュニパーベリー(Juniperus communis L.)と他の天然ボタニカルを用いて、最初のアルコール度数が少なくとも96%の農業由来のエタノールを蒸留することで、ジュニパーの味が主体となるジュニパー風味のスピリッツを製造します。

(ii)このような蒸留の製品と、同じ組成、純度、およびアルコール度数の農業由来のエタノールを組み合わせたものです。カテゴリー20の(c)項に規定される風味付け物質や風味付け用製剤、またはその両方も、蒸留ジンの風味付けに使用することができます。

(b)蒸留ジンの最低アルコール度数は、37.5%です。

(c)農業由来のエタノールにエッセンスや風味付けを単純に添加することで作られるジンは、蒸留ジンとはみなされません。

(d)最終製品1リットルあたりの甘味料が、インバートシュガー換算で0.1グラムを超えない場合、「蒸留ジン」という言葉に「ドライ」という言葉を付け加えるか、組み込むことができます。

Regulation (EU) 2019/787

ロンドンジン(London Gin)の定義とは?

EU法規:スピリット・ドリンクに関する規則 (Regulation (EU) 2019/787)」に記載されている定義を日本語に翻訳して引用すると、以下のような定義となります。

(a) ロンドンジンは、以下の要件を満たす蒸留ジンです。

(i) 農業原料由来のエチルアルコールのみで作られ、メタノール含有量が100%のアルコールあたり1ヘクトリットルあたり5グラム以下で、その風味は、使用されるすべての天然植物材料の存在下で農業原料由来のエチルアルコールを蒸留することによってのみ与えられます。

(ii) 得られる蒸留物は、アルコール濃度が少なくとも70%以上であること。

(iii) 追加される農業原料由来のエチルアルコールは、記事5で規定された要件を満たすものでなければならず、メタノール含有量が100%のアルコールあたり1ヘクトリットルあたり5グラム以下であること。

(iv) 着色されていないこと。

(v) 最終製品1リットルあたりの甘味料の含有量が、インバートシュガー換算で0.1グラム以下であること。

(vi) 使用される成分は、(i)、(iii)、(v)に記載された成分および水以外には含まれていないこと。

(b) ロンドンジンの最低アルコール度数は、37.5%であること。

(c) 「ロンドンジン」という用語は、「ドライ」という用語を補完するか、組み込むことができます。

Regulation (EU) 2019/787

ジン、蒸留ジンと比較するとかなり厳格に定義されていることがわかります。

八王子蒸溜所が造るトーキョーハチオウジンは、このロンドンドライジンの製法を継承しており、”トーキョードライジン”を提唱しています。

基本情報

引用元:東京八王子蒸溜所
製造者東京八王子蒸溜所 (株式会社大信)
ボタニカルジュニパーペリー、レモンピール、甘夏ピール、ビターオレンジピール、コリアンダーシード、アンジェリカルート、リコリスルート、カルダモン、カシアバーク、クローブ、ジャーマンカモミール、エルダーフラワー
アルコール度数45%
容量500ml
価格オープン価格

八王子蒸溜所公式サイト:https://hachioji-distillery.jp/

本記事のまとめ

本記事ではロンドンドライジンとクラフトジンの違いについて解説をするため、ジンの定義について詳しく紹介させていただきました。

自由に見えるジンの世界ですが、実はこんな定義が存在していたんですね。

知っておくとあなたも”ジン通”?

是非覚えておきましょう!

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